・たばこの煙には約5300種類の化学物質が含まれ、なかでも、ニコチン、タール、一酸化炭素は、たばこの3大有害化学物質とよばれています。ニコチンには依存性、タールには発がん性があり、一酸化炭素は動脈硬化を促進させる作用があります。
・禁煙は呼吸器疾患だけでなく、循環器疾患、消化器疾患、糖尿病、歯科疾患を引き起こします。
・喫煙者だけでなく、副流煙により、たばこを吸わない人に喫煙関連疾患を引き起こす可能性を高めます。
・禁煙を開始すると、すぐに体内に変化があらわれます。時間の経過とともに、様々な病気のリスクが低下します。
(例)①20分後には血圧が最後のたばこを吸う前のレベルに戻る。②8時間後には血中の一酸化炭素濃度が正常に戻る。③24時間後には心臓発作のリスクが下がる。④2週間-3ヶ月後には肺活量が増え、呼吸がらくになる。⑤1年後には心臓病のリスクが、喫煙者の半分に下がる。⑥5年後には脳卒中のリスクが非喫煙者と同等になる。など、、、
・禁煙することでたばこ代を節約できます。1日1箱吸っている方は、1箱500円とすると、月約15000円の節約、1年で約18万円の節約となります。
・たばこをやめにくいのは、心理的な依存と身体的な依存の2つの依存があるためです。心理的な依存とは、喫煙が生活の一部となり習慣化しており、たばこがないと安心できない状態です。身体的な依存とは、ニコチンに対する薬物依存という病気であり、禁煙により様々な離脱症状をおこします。
・離脱症状は禁煙後3日以内にピークとなります。異常にたばこが吸いたい、イライラ・落ち着かない、頭痛、だるさ、眠さなどが起こります。
・ニコチン置換療法は、禁煙開始時に現れるつらい離脱症状に対して、ニコチンを補充することで症状を軽減します。ニコチネルTTSというパッチ剤を使用します(現在内服薬は使用できなくなりました)。
・ニコチネルTTSによる禁煙治療は12週間に5回(初回、2週間後、4週間後、8週間後、12週間後)の通院を必要とします。ニコチネルTTSは1日1回朝、体の一部に貼るのみで、3種類の大きさがあります。ニコチネルTTSの使用期間は基本8週間で、禁煙時期に応じて30→20→10と減量し、最終的に中止します。
・ニコチネルTTS使用中は喫煙してはいけません。過量のニコチンが摂取される可能性があります。
・禁煙外来の保険適応は下記の3つを満たす方となります。
①ニコチン依存症スクリーニングテストでニコチン依存(5点以上)と診断された方(下表参照)。
②ブリンクマン指数(1日の喫煙本数 x 年数)が200以上の方(35歳未満の方は条件なし)。
③禁煙を希望され、治療に同意された方。
ニコチン依存症のスクリーニングテスト(5点以上で依存あり) | |
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問1 | 自分が吸うつもりよりも、ずっと多くタバコを吸ってしまうことがありましたか? |
問2 | 禁煙や本数を減らそうと試みて、できなかったことがありましたか? |
問3 | 禁煙したり本数を減らそうとしたときに、タバコがほしくてたまらなくなることがありましたか? |
問4 | 禁煙したり本数を減らしたときに次のどれかがありまたか?(いらいら、神経質、落ち着かない、集中しにくい、 ゆううつ、頭痛、眠気、胃のむかつき、脈が遅い、手のふるえ、食欲または体重増加) |
問5 | 問4でうかがった症状を消すために、またタバコを吸い始めることがありましたか? |
問6 | 重い病気にかかったときに、タバコはよくないとわかっているのに吸うことがありましたか? |
問7 | タバコのために自分に健康問題が起きているとわかっていても、吸うことがありましたか? |
問8 | タバコのために自分に精神問題(神経質、不安、抑うつなど)が起きているわかていても、吸うことがありましたか? |
問9 | 自分はタバコに依存していると感じることがありましたか? |
問10 | タバコが吸えないような仕事やつきあいを避けることが何度かありましたか? |
・標準的な用法、用量で処方した場合の5回通院の合計費用は下記の通りです(目安と考えてください)。
・1日1箱吸っている方の場合はたばこ代1ヶ月分で治療ができます。
費用 | 自己負担(3割負担例) | ||
診療所 | 初診料+再診料 ニコチン依存症管理料 院外処方せん料 | 7780円 9620円 2040円 | 5830円 |
薬局 | 調剤基本料・調剤料 禁煙補助薬 | 2910円 21280円 | 7260円 |
合計 | 43630円 | 13090円 |
・禁煙外来を希望される方は、確認事項がありますので、受付に電話で相談ください。